「生涯未婚率」は、50歳時点で一度も結婚していない人の割合として定義される指標です。男性版は都道府県別 生涯未婚率(男性) ランキング 2020年で取り上げましたが、女性側はまったく別の地域構造になります。
本記事では、2020年(令和2年)国勢調査をもとに、女性の生涯未婚率を都道府県別にランキング化し、男性版との対比を含めて地域パターンと背景要因を整理します。
要点を先に整理すると、次のとおりです。
- 47県平均は 16.57%。女性のおよそ6人に1人が50歳時点で結婚経験なし
- 最高は東京都 23.79%、最低は福井県 12.12% で 11.67ポイント差(1.96倍)
- 上位の東京都 23.79% は、男性最下位の滋賀県 23.03% とほぼ同水準 — 「東京の女性は男性最下位県と同レベルで結婚していない」というインパクト
- 男性版TOP10と女性版TOP10は 6県が入れ替わり。関東4県のうち女性版TOP10入りは東京のみで、北関東3県(茨城・栃木・群馬)はむしろ下位寄り
- 下位は 北陸・中部ベルト(福井・滋賀・岐阜・山形・三重・富山)で固まり、男性版BOTTOM10と4県が一致
生涯未婚率(女性)とは
「生涯未婚率」は、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の定義に従い、「45〜49歳と50〜54歳の未婚率の平均」 で算出される指標です。「50歳時点未婚率」とも呼ばれます。
女性の生涯未婚率は、男性に比べて統計的にも社会的にも遅れて上昇してきました。1980年には4.45%、2000年でも5.82%にとどまっていましたが、2020年には全国で 17.81%(社人研公表値)まで急上昇。過去40年で約4倍の水準に達しています。
なお本記事の数値は 47都道府県の単純平均(16.57%) を「全国相当値」として扱います。社人研公表の人口加重平均値(17.81%)とは集計手法が異なる点にご留意ください。
都道府県別 生涯未婚率(女性) TOP10(2020年)
| 順位 | 都道府県 | 生涯未婚率(%) | 47県平均比(pt差) |
|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 23.79 | +7.22 |
| 2 | 高知県 | 21.13 | +4.56 |
| 3 | 大阪府 | 20.60 | +4.03 |
| 4 | 北海道 | 20.36 | +3.79 |
| 5 | 京都府 | 20.06 | +3.49 |
| 6 | 福岡県 | 19.66 | +3.09 |
| 7 | 沖縄県 | 19.33 | +2.76 |
| 8 | 長崎県 | 18.65 | +2.08 |
| 9 | 鹿児島県 | 18.58 | +2.01 |
| 10 | 愛媛県 | 18.29 | +1.72 |
女性版TOP10は「大都市圏+西日本太平洋側」が中心です。東京・大阪・京都・福岡といった大都市が並ぶ一方、TOP10のうち 6県(高知・北海道・沖縄・長崎・鹿児島・愛媛)は地方・四国・九州の都市から離れたエリア。
ここで男性版TOP10との比較が興味深い構造を浮かび上がらせます。男性版TOP10は 関東4県(東京・埼玉・神奈川・千葉)+ 茨城 という首都圏ベルトが半分を占めていましたが、女性版TOP10にランクインしたのは 東京1県だけ。神奈川(17位)・千葉(19位)・埼玉(20位)はいずれも中位圏に下がり、北関東3県は35〜37位まで沈みます。男性が高い県=女性が高い県ではないという非対称性が、結婚をめぐる地域構造の核心です。
都道府県別 生涯未婚率(女性) BOTTOM10(2020年)
| 順位 | 都道府県 | 生涯未婚率(%) | 47県平均比(pt差) |
|---|---|---|---|
| 1 | 福井県 | 12.12 | −4.45 |
| 2 | 滋賀県 | 12.78 | −3.79 |
| 3 | 岐阜県 | 13.15 | −3.42 |
| 4 | 山形県 | 13.45 | −3.12 |
| 5 | 三重県 | 13.55 | −3.02 |
| 6 | 富山県 | 14.00 | −2.57 |
| 7 | 長野県 | 14.28 | −2.29 |
| 8 | 山梨県 | 14.30 | −2.27 |
| 9 | 島根県 | 14.47 | −2.10 |
| 10 | 愛知県 | 14.51 | −2.06 |
女性版BOTTOM10は北陸・中部ベルトに集中します。最低の福井県12.12%は、最高の東京都23.79%とくらべて 約半分の水準。福井・滋賀・岐阜・富山・長野・山梨・三重・愛知という、日本海側〜中央高地〜東海にかけての帯状エリアで「女性が結婚しやすい」傾向が際立っています。
ここで男性版BOTTOM10と照合すると、滋賀・福井・岐阜・三重の4県が男女ともに最下位グループに入っています。男性版BOTTOM10にあった奈良・宮崎・香川・鹿児島・熊本・石川は女性版では中位圏。逆に、女性版BOTTOM10で目立つ山形・富山・長野・山梨・島根・愛知は男性版では中位寄り。「結婚しやすい県」のコアは男女共通だが、その周辺県は男女で別という構造です。
男女対比:女性23.79%は男性最下位23.03%と同水準
本テーマの最大の見せ場は、東京都女性の生涯未婚率 23.79% が、男性最下位の滋賀県 23.03% とほぼ同水準という事実です。「東京の女性は、男性全国最下位県と同レベルで結婚していない」と言い換えられます。主要県の男女セットを並べてみましょう。
| 都道府県 | 女性(%) | 男性(%) | 差(男−女、pt) | 比(男÷女、倍) |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 23.79 | 32.15 | 8.36 | 1.351 |
| 大阪府 | 20.60 | 29.00 | 8.40 | 1.408 |
| 北海道 | 20.36 | 27.76 | 7.40 | 1.363 |
| 沖縄県 | 19.33 | 29.12 | 9.79 | 1.506 |
| 茨城県 | 14.65 | 28.85 | 14.20 | 1.969 |
| 栃木県 | 14.72 | 28.67 | 13.95 | 1.948 |
| 山形県 | 13.45 | 26.22 | 12.77 | 1.949 |
| 福井県 | 12.12 | 23.36 | 11.24 | 1.927 |
| 滋賀県 | 12.78 | 23.03 | 10.25 | 1.802 |
| 鹿児島県 | 18.58 | 24.98 | 6.40 | 1.344 |
47県の男性単純平均は 26.98%、女性単純平均は 16.57% で、男女差は平均 10.41ポイント。ただし都道府県によってこの差は大きく動きます。
- 男女差TOP(差が大きい): 茨城14.20pt / 栃木13.95pt / 埼玉13.53pt — 北関東3県が独占
- 男女差BOTTOM(差が小さい): 鹿児島6.40pt / 長崎6.94pt / 福岡7.00pt — 九州が独占
- 男女比(男÷女)が最大: 茨城1.969倍(男性は女性の約2倍未婚)
- 男女比(男÷女)が最小: 鹿児島1.344倍
北関東3県では男性のみが突出して未婚率が高く、女性は中位圏という偏った構造になっています。これは後述するように、女性が結婚・転出で都心側の住民票へ移ることで、本人は東京の統計に計上され、北関東男性だけが未婚として残る——という人口移動の名簿化メカニズムが指摘されています。
関東7県の女性ランクと男性版ランクの対比
| 都道府県 | 女性ランク | 女性値(%) | 男性ランク |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 1位 | 23.79 | 1位 |
| 神奈川県 | 17位 | 17.28 | 3位 |
| 千葉県 | 19位 | 16.78 | 4位 |
| 埼玉県 | 20位 | 16.71 | 2位 |
| 群馬県 | 35位 | 15.01 | 中位圏 |
| 栃木県 | 36位 | 14.72 | 中位圏 |
| 茨城県 | 37位 | 14.65 | 10位 |
男性版で2〜4位を独占していた首都圏3県(神奈川・千葉・埼玉)は、女性版では17〜20位に下がります。**東京以外の首都圏は、女性にとっては「むしろ結婚しやすい県」**になるという反転が起きています。
上位構造の背景:女性版TOP10が「大都市+西日本太平洋側」になる理由
女性の生涯未婚率TOP10で目立つのは、東京・大阪・京都・福岡という大都市と、高知・北海道・沖縄・長崎・鹿児島・愛媛という太平洋側〜離島〜九州の地方の組み合わせです。背景要因として次が指摘されています。
- 大都市圏の女性キャリア志向: 東京・大阪・京都・福岡では女性の高学歴化・就労継続が進み、「結婚を選ばない」「結婚を遅らせる」選択肢が成立しやすい。賃金・職種の選択肢が広く、結婚せずとも生活が完結する経済圏
- 西日本太平洋側の若年男性流出: 高知・愛媛・長崎・鹿児島は、若年男性が大都市圏へ流出する地域。**地元に残る女性側から見ると「結婚相手として選ぶ同世代男性が少ない」**という婚姻市場の薄さが影響
- 沖縄の特殊事情: 沖縄は離婚率も全国最高で、結婚→離婚→単身回帰のサイクルが他県より速い。50歳時点で未婚でなくとも単身世帯化する構造を持つが、女性の生涯未婚率自体も7位と高水準
- 北海道の都市化+第一次産業縮小: 札幌一極集中で道内移動が起き、農漁業従事者の婚姻市場が縮小。札幌の女性は東京同様にキャリア志向が強い
- 観光・サービス業の独身向け雇用構造: 高知・沖縄・福岡・京都など観光資源を持つ県では、女性が単身でも継続できるサービス業雇用が多い
下位構造の背景:北陸・中部ベルトが最低位を独占する理由
女性の生涯未婚率BOTTOM10は、福井・滋賀・岐阜・山形・三重・富山・長野・山梨・島根・愛知という、北陸〜中央高地〜東海にかけてのベルト状エリアに集中しています。男性版BOTTOM10と4県(滋賀・福井・岐阜・三重)が一致する一方、構成県は半分以上が異なります。
- 三世代同居・親族ネットワーク: 福井・富山・山形・島根は三世代同居率が全国上位。「結婚して地元に住む」選択肢が、住居・育児サポート面で経済合理的になりやすい
- 持ち家率の高さと住宅取得の容易さ: 北陸・東海は持ち家率が高く、結婚と同時の住宅取得ハードルが低い。東京都心のように単身賃貸で消耗しない経済構造
- 大企業・製造業の地元雇用: 愛知・岐阜・三重・滋賀は製造業の集積地で、男性側に安定雇用が豊富。婚姻市場として「結婚相手の経済力」条件が満たされやすい
- 女性の地元就労継続: 北陸・中部の女性就業率は全国上位水準(福井・山形は共働き率も高い)。結婚=退職ではなく、結婚しても働き続ける文化が定着し、結婚そのもののハードルが下がる
- 地縁・同窓・近隣ネットワーク: 中規模都市で地元の人間関係が機能しており、見合い・紹介を含めた婚姻機会が確保されている
男女差TOPの北関東3県・男女差BOTTOMの九州が示すもの
男女差TOPの 茨城・栃木・埼玉(北関東3県) に共通するのは、女性は中位圏なのに男性だけが突出して高いという偏りです。考えられる構造として、次が指摘されています。
- 遠隔通勤・住民票の都心移動: 北関東出身の女性が東京都心側で就職・結婚・住民票異動を行い、本人は東京の統計(生涯未婚率1位を押し上げる側)に計上される。地元北関東の男性だけが「未婚のまま」として残る
- 男女比のアンバランス: 北関東の20〜40代男女比は男性過多。製造業・工場勤務の男性雇用が多い一方、女性向け雇用は東京都心側に集中
- 「東京の生涯未婚率1位」と「茨城の男女差1位」は表裏一体の構造で、人口移動の名簿化が引き起こす統計現象とも言える
逆に男女差BOTTOMの 鹿児島・長崎・福岡(九州) は、男女ともに高水準で揃う「未婚均等型」地域です。男性流出が女性流出と同程度に起きており、地域全体として結婚を選ばない/選べない構造が均等に進行している可能性があります。
男女差・社会的背景
参考までに、男性と女性の生涯未婚率の差は以下のとおりです(社人研公表値、人口加重)。
- 男性: 28.25%
- 女性: 17.81%
- 男女差: 10.44ポイント
男性の方が高い背景には、年下女性と結婚する「年齢差婚」の慣行、男性側の経済要件(収入・職業)が婚姻市場で重視されやすいこと、そして 女性の高学歴化・キャリア志向で結婚相手選びのハードルが上がったこと などが指摘されています。
過去推移では、女性の生涯未婚率は 1980年 4.45% → 2000年 5.82% → 2020年 17.81% と、特に2000年以降の20年で 約3倍に上昇。男性ほどの倍率ではないにせよ、社会全体の婚姻離脱が女性側でも進行していることを示しています。
関連動画(姉妹チャンネル)
姉妹チャンネル「統計データのYouTube投稿」では、結婚・離婚関連の可視化動画を公開しています。生涯未婚率(女性)単独の公開動画はまだありませんが、関連テーマで以下が参考になります。
- 📺 東京は鳥取の44倍!都道府県別 婚姻件数 — 婚姻件数を地図とランキングで15秒俯瞰
- 📺 沖縄は富山の2倍!都道府県別 離婚率 — 離婚率の地域差を可視化、本記事の沖縄の議論と接続
- 📺 【次回予告付き】沖縄は富山の2倍!都道府県別 離婚率 — 同テーマの拡張版
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- 都道府県別 出生数 ランキング 2024年 — 生涯未婚率の上昇が少子化に与える影響
- (準備中)都道府県別 合計特殊出生率 2023年
- (準備中)都道府県別 平均初婚年齢
まとめ
- 2020年の女性生涯未婚率は47県単純平均 16.57%、女性6人に1人が50歳時点で結婚経験なし
- 東京都 23.79% vs 福井県 12.12% で 11.67ポイント差(1.96倍)
- 東京都女性の23.79%は、男性最下位の滋賀県23.03%とほぼ同水準 — 男女で地域構造がまったく別
- 男性版TOP10と女性版TOP10は 6県が入れ替わり、関東4県のうち女性版入りは東京のみ。北関東3県は男女差TOPに振れる
- 下位は 北陸・中部ベルトで固まり、男性版BOTTOM10と4県が一致(結婚しやすい県のコアは男女共通)
最終更新: 2026-05-15。本記事は次回国勢調査(2025年実施→2026〜2027年公表予定)の結果が出次第、更新します。