都道府県別 生活保護 受給率・実人員 ランキング 2023年度|大阪30.4‰・富山4.2‰、7倍格差の構造

生活保護は、憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための制度で、日本のセーフティネットの最後の砦です。本記事では、厚生労働省「被保護者調査」の2023年度(令和5年度)データをもとに、都道府県別の生活保護 受給率・実人員・高齢者世帯・申請件数・医療扶助率を多角的にランキング化し、地域差の構造を整理します。

要点を先に整理すると、次のとおりです。

  • 全国の被保護実人員は 約202万人(月平均、人口の約1.6%)、うち高齢者世帯は約91万世帯(全体の約45%)
  • 受給率(人口千人当たり)の最高は大阪府 30.42‰、最低は富山県 4.23‰約7.19倍の格差
  • 上位は 大阪・北海道・沖縄・高知・福岡 など大都市圏と北海道・九州・四国
  • 下位は 富山・長野・福井・岐阜・石川 など北陸+中央高地
  • 高齢者世帯は 大阪・東京で全国の約27%、生活保護=高齢化問題の側面が顕著

生活保護 受給率(人口千人当たり)TOP10

順位都道府県受給率(‰)全国比
1大阪府30.42217.9%
2北海道29.50211.4%
3沖縄県27.07193.9%
4高知県25.64183.7%
5福岡県23.28166.7%
6青森県23.13165.7%
7京都府20.95150.1%
8長崎県20.24145.0%
9東京都19.61140.5%
10鹿児島県18.50132.5%

大阪府が30.42‰で全国1位。人口1,000人あたり約30人が生活保護を受給している計算で、全国平均(13.96‰)の2.18倍の水準です。

地域的には、大阪・京都・東京・福岡など大都市圏と、北海道・沖縄・高知・青森・長崎・鹿児島など地方の特定エリアの二つのクラスタが上位を構成します。

生活保護 受給率 BOTTOM10

順位都道府県受給率(‰)全国比
1富山県4.2330.3%
2長野県5.4238.8%
3福井県5.7441.1%
4岐阜県6.0143.0%
5石川県6.4446.1%
6山形県7.5554.1%
7滋賀県7.9957.2%
8群馬県8.0457.6%
9島根県8.2859.3%
10山梨県8.7562.7%

最低は富山県 4.23‰。1位の大阪府との差は 約7.19倍です。BOTTOM10は 北陸(富山・福井・石川)+ 中央高地(長野・山梨・群馬)+ 中部(岐阜・滋賀)+ 山形・島根で構成され、地理的には北陸〜中部山岳地帯に集中しています。

被保護実人員(絶対数)TOP10

絶対数で見ると、人口集中の効果が支配的になります。

順位都道府県実人員(人)全国比
1東京都276,17913.7%
2大阪府266,57713.2%
3神奈川県153,3867.6%
4北海道150,1967.4%
5福岡県118,7865.9%
6埼玉県98,4404.9%
7兵庫県98,2464.9%
8千葉県90,1784.5%
9愛知県77,3503.8%
10京都府53,1032.6%

東京都276,179人 vs 大阪府266,577人 が全国の上位2位。両者で全国の 26.9% を占めます。大阪府は人口で東京の約63%ですが、被保護実人員では東京の96%水準に達しており、受給率の高さを反映しています。

高齢者世帯(被保護世帯のうち)の構造

被保護世帯のうち高齢者世帯(65歳以上のみで構成される世帯)の数を見ると、生活保護=高齢化問題の側面がより鮮明に浮かびます。

順位都道府県高齢者世帯(世帯)全国比
1大阪府125,63513.8%
2東京都123,89713.6%
3北海道66,1607.3%
4神奈川県64,3437.1%
5福岡県53,4535.9%

全国の高齢者被保護世帯は約91万世帯で、被保護世帯全体の約 45% に達します。大阪・東京の2都府で全国の**約27%**を占めます。

なぜ大阪・北海道・沖縄が高いのか

このランキングの構造には、複合的な背景があります。

大阪府が突出して高い構造要因

  1. 高齢者の都市部集中: 退職後も大阪市内で賃貸住まいする高齢者が多く、年金だけでは生活費を賄えない世帯が生活保護に至るケースが多い
  2. 西成区など特定地域の集中: 日雇い労働者・単身高齢者が集中する地域があり、地区単位での受給率は全国平均の数倍
  3. 第3次産業比率の高さ × 不安定雇用: 飲食・観光・小売など景気変動の影響を受けやすい産業構造
  4. 歴史的・社会的要因: 同和地区・在日コリアン世帯の歴史的経済格差の蓄積
  5. 行政の運用姿勢: 大阪市は申請受理〜決定までの運用が相対的に丁寧で「保護を受けやすい」自治体とされる

北海道が2位の理由

  1. 産炭地・産業衰退地域: 旧産炭地(夕張・釧路・函館等)で高齢化と人口流出が同時進行
  2. 冬季の生活費高さ: 暖房費が他県の数倍、最低生活費の自治体加算でも追いつかない世帯
  3. 広域分散人口: 都市部・郡部の格差が大きく、過疎地の高齢者は移動・就労機会が限られる
  4. 基幹産業の衰退: 漁業・農業・観光のいずれも長期低迷

沖縄県が3位の理由

  1. 県民所得が全国最下位: 経済基盤の弱さがそのまま生活保護依存率に反映
  2. 第3次産業比率の高さ × 不安定雇用: 観光業中心でパート・アルバイト比率が高い
  3. 若年層失業率の高さ: 全国平均の約1.5倍
  4. ひとり親世帯比率の高さ: 全国平均の約2倍

北陸が低い構造要因(再掲)

離婚率の記事純金融資産の記事で見たのと同じ「北陸ベルト」が、生活保護受給率でも下位を独占しています。

  1. 持ち家率の高さ(富山・福井・石川は全国上位)
  2. 三世代同居率の高さ → 家族間扶養が機能
  3. 共働き率の高さ → 世帯収入が安定
  4. 大企業の本社・工場立地 → 安定雇用基盤
  5. 地縁・親族ネットワーク → セーフティネットが家族・地域内で機能

これらは「生活保護が必要な状況にならない」構造として作用します。

医療扶助との連動

生活保護のうち医療扶助(医療費全額を公費で負担する制度)の受給率も、ほぼ同じパターンを示します。

TOP3(医療扶助率)受給率(‰)
大阪府25.97
北海道25.96
高知県22.39

医療扶助は被保護者の 約92% が利用しているとされ、生活保護費全体の 約47% を占める最大費目です。受給率が高い県は医療費負担も大きくなる構造です。

関連動画(姉妹チャンネル)

姉妹チャンネル「統計データのYouTube投稿」では、生活保護の関連テーマで動画を公開しています。

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まとめ

  • 全国の生活保護受給者は 約202万人(人口の約1.6%)、高齢者世帯が 全体の約45%
  • 大阪府 30.42‰ vs 富山県 4.23‰約7.19倍 の地域格差
  • 上位は 大都市圏 × 北海道 × 九州・沖縄、下位は 北陸ベルト + 中央高地
  • 大阪・東京の2都府で全国の高齢者被保護世帯の 約27% を占有
  • 北陸の低受給率は 持ち家率・共働き率・三世代同居率・大企業立地の複合要因

最終更新: 2026-05-11。本記事は厚生労働省が次年度の被保護者調査を公表した際に数値を更新します(例年12月公表)。

出典